十六羅漢像

羅漢とは、阿羅漢の略語で、真人と訳され、聖人を意味します。即ち、完全に悟りを開いた功徳の備わった最上の仏教修行者のことで、禅宗では修業の階程として造立、崇拝されています。十六羅漢のほかに、十八羅漢、五百羅漢などがあります。

第一尊者は賓度羅跋羅惰闍尊者(ピンドラバラダジヤーソンジヤ)、一般に「オビンズル様」と呼ばれています。 このオビンズル様の背後に信州高速滝口村亀右衛門、泰道の名が刻まれており、作者名の明らかな石像で数少ないものです。小手風土記には、石ノ羅漢天明年中日州恵輪和尚建立と記されていますので、1780年代に作られたものでしょう。福島の黒岩山満願寺にある十六羅漢像より古いものです。

最近までは、部分的に金箔がはってあったということで、松林の中に立つ姿には、荘厳をとおりこして恐ろしい感じさえしたとは古老の話です。

ほぼ、完全な形で現在に至っているその姿は、周囲をとりまく松の古木のかもし出すふん囲気とともに、修業僧の理想と地域の人々の真摯な信仰の心を今に伝える貴重な文化財として守られています。(「ふるさとの小径をゆく」より)

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